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  • 執筆者の写真Natsumi Kaihara

WARP × Talk vol.6

更新日:2020年12月9日

コンテンポラリー・ジュエリーの楽しみ方1



ここからは、楽しみ方について考えていきましょう。


今回はコンテンポラリー・ジュエリーの醍醐味を3つに分けてお話したいと思います。


・作家性(コンセプトや表現)

・作品との間に生まれる個人的な関係

・作品を通し第三者との間に生まれるコミュニケーション



作家性(コンセプトや表現):

制作時、素材は作家の感性や感情に大いに晒され作品となります。環境やそれまでの人生、哲学が作品になると言えるでしょう。しかし、そんな作家のコンセプトや意図は作品を見るだけでは理解出来ない事があります。キャプションやギャラリストのお話しなどから、作品背景を自分なりに理解したり、作家独自の世界観・表現法を鑑賞するのもオススメの楽しみ方です。更に過去作から見返して、作家の人生を辿るのも興味深いですね。

作家に会う機会があれば、お話ししてみることをお勧めします。今までと違った作品の捉え方が出来るかも知れません。



作品との間の個人的な関係:

人間は日々変化し、ジュエリーを見る目や、ジュエリーへの感じ方も日々移り変わります。

作品に定義がないと言う事は、その作品が死ぬ事なく見る人によって生き続けると言えると思います。抽象画にファンが多いのも同じことが言えるのではないでしょうか。


日本人は情緒的で、心の襞を大切にする傾向がある。

しんしんと雪の降る音。これは自然を捉え自分に落とし込もうとする日本人の繊細な感受性と、物事に真摯に向き合う気質が背景にあると言えるのではないでしょうか。

そんな私たちは作品鑑賞をする上でも、自然にジュエリーと個人的事柄と結びつけ、各々の情緒を作品に投影しやすいと感じます。



作品を通し第三者との間に生まれるコミュニケーション:

ラテン人(カタルーニャ人は自分達をラテンとは思っていないのは一先ず置いておいて)は人懐っこいと称されるように、皆さん気軽に話しかけてくれます。

まとまりの無い意見でも、なんの後ろ盾も根拠のない感想でも、気軽に教えてくれる。

この「自分は何者でもないけれど、発言できる」「自分の意見は価値がある」という気風がとても好きです。この屈託の無い意見交換から、作品は新たな一面を見せ始めます。



では実際どう鑑賞するのかーー

例えば、感じたままに、連想するように作品を見てみて下さい。

「何っぽいですか?」 「どう感じますか?」「つけたらどういう気分になるでしょう?」「これを付けた人がいたらどう思いますか?」

一人で鑑賞していも、ご自身から色々な意見が出てくると思います。


次に「どれが気になりましたか?」「気になる作品は複数ありますか?」

「それらの共通点はなんですか?」

こんな事からご自身の傾向や隠れていた「興味・哲学」が発見されるかも知れません。


これまでお伝えしてきた「作品を捉えるのに正解はなく、ある意味生じた誤解こそ作品の豊かさとなる」というのはあくまでも私個人の見解であり、皆さんへ1つのご提案です。

自分の感性に立ち戻り、「なんだか分からないが好きだ」「なんだか分からないが気になる」という感情を始点にジュエリーを選んでも良いのでは無いでしょうか。

その「なんだか分からない」を掘り下げていく事は、

自分自身との対話、ジュエリーを介してのコミュニケーションなのです。



次回は、実際の身につけ方についてお話ししたいと思います。




コンテンポラリー・ジュエリー グループ展

WARP Tokyo-Barcelona

会期: 東京 2020年12月14日(月)〜12月20日(日) 銀座ACギャラリー

巡回展: スペイン・バルセロナ 2021年9月25日〜 CONTEXT Gallery

キュレーション: 貝原奈積

協力: 銀座AC,Gallery


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