豊かな誤解
以前バルセロナで作品を展示していた時、来場者に「これはOOでしょう?」「XXから連想した?」「△△ぽいよね」と話しかけられました。
実は当時のコンセプト*とは大きく違い、最初は苦笑いで説明・対応しました。
しかし後には皆さんの意見を心待ちにしている事に気がつきました。思いもよらない事を言われる、驚き連続の連想ゲームのようでした。第三者の視点を通し、新しい観点から自分の作品を捉える事が出来きる。この体験は「作品は観る者により常に変化をする定義の無い存在である」という事を再認識するきっかけとなりました。
展示の様子
*当時のコンセプト: 制作中の集中から齎される静寂
この静寂を通し、幼少期に触れた何かの本質を再度捉えることでした。
筆記具、楽器のパーツ、工場部品の再構築・・・色々なご意見を頂きました。 (Serie: Polyphony of Silence Natsumi Kaihara)
その人にとってはその捉え方や見え方が現実であり、この現実は今までその人が生きて来た人生や、培って来た考え・感性を基にしています。ここからジュエリーとの個人的な関係が築かれる。例え誤解があっても良いのです。解釈は人それぞれに委ねられる。
ジュエリーという身に付けられる物だからこそ、身に付ける者の心にも作用が起る。
更には、作者・身に付けた者・それを見る者など他者間でジュエリーを介してのコミュニケーションが生まれます。
私はそこにコンテンポラリー・ジュエリーのもう一つの価値と、面白さがあると思っています。
次回は、今まで話してきたコンテンポラリー・ジュエリーとは結局なんなのかを纏めてみようと思います。
コンテンポラリー・ジュエリー グループ展
WARP Tokyo-Barcelona
会期: 東京 2020年12月14日(月)〜12月20日(日) 銀座ACギャラリー
巡回展: スペイン・バルセロナ 2021年9月25日〜 CONTEXT Gallery
キュレーション: 貝原奈積
協力: 銀座AC,Gallery
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